グランデザインの技術
介護
段差や手すりなど、
機能上の負荷軽減について
住宅のさまざまな機能は健康な人を基準に作られています。
そこで機能上の負荷軽減のためには、広範な改善
求められます。
主な個所は以下の通りです。
<移動スペース>
- ・段差の解消
- ・廊下幅の確保
- ・建物アクセスのためのスロープ
- ・etc...
<寝室>
- ・リクライニングベッドの設置スペース確保
- ・車椅子からの乗り移りスペース確保
- ・移動用リフト、据え置きリフト、天井走行リフトのスペース確保
- ・介護用器具置場および電源の確保
- ・etc...
<便所>
- ・手摺付き便所
- ・車椅子のスペースを確保
- ・介助スペース確保
- ・呼び出しベル設置
- ・半自動引戸
- ・etc...
<洗面脱衣室>
- ・車椅子用洗面台の設置
- ・車椅子スペースの確保
- ・汚物流しの設置
- ・etc...
<浴室>
- ・介護用浴槽設置スペース確保
- ・呼び出しベル設置
- ・etc...
他にも介護条件により設計上考慮することはたくさんあります。
必要な条件を踏まえて検討していきます。
断熱や換気など
性能上の身体負荷軽減について
<換気能力の確保>
十分な断熱・気密性能を確保し、室内の温度環境を一定に保ちます。
障害を持たれている方で適切な運動ができない場合、筋肉量が減り低体温症に
なる可能性があります。
ですから建物の性能で補助することが必要です。
→温熱環境について
<断熱・気密性能の確保>
きれいな空気環境とするために、換気は必須です。
おむつを使用される場合も、匂いという意味で常時換気は必要になります。
ただ、常時換気を行うと室内の温度環境が、外気に影響されてしまうので、
室内温度と外気温度を中和するために、熱交換型換気扇というものを用います。
熱交換型換気扇とは、その名のとおり外気と室内空気の熱を交換します。
冬は、外から入る新鮮な冷たい外気と、排気される暖かい室内空気が熱交換されて、
新鮮な冷たい外気が暖かくなり室内に入ってくるというものです。
<換気能力の確保>
よりよい空気環境を確保するために、漆喰を用います。
調湿、防カビ、脱臭、ホルムアルデヒドの吸着という性能から
介護住宅の場合必須の内装仕上材となります。
→空気環境について
<耐震性能の確保>
震災時、要介護者は単独で避難することが困難です。
健常者よりも、避難にかかる時間が長くなるので、
より高い耐震性能を確保しなくてはなりません。
→耐震について
芸術空間の自己治癒力について
天井を見上げて過ごす時間が長いため、太陽光の具合により見え方が変化する波の天井。。。
その完成を職人さんたちが見上げる。。。
芸術性に優れた空間で、言葉には表せない感情を得ることがあります。
私の場合は、その空間を見て人生の進む方向を転換させることになるほど、
大きな影響を受けました。
「芸術的行為の能動性は自己治癒力に働きかける」
ということがいわれています。
我々は医師団ではないので、医学的に障害を持たれている方をアプローチ
することはできません。
建築士として、建築空間をもって改善する術を提供していくしかありません。
一般的に、バリアフリー住宅や、介護住宅というと、
1つめの項目にあげた機能的な部分のみ建築に取り入れる例が多いです。
2つめの建物の性能についても考慮している建物となれば、更に希少となります。
3つめの芸術空間の創出となると、成されていない場合がほとんどではないでしょうか。。。
必要な条件を踏まえて検討していきます。
では、何をもって芸術空間とするのか?
2つめの建物の性能についても考慮している建物となれば、更に希少となります。
我々はそこに住まれる方の趣味趣向や理想とすることを読み取るために、
最大限に力を注ぎます。
療養中の病院や療護施設で実際に住まれる方と会い、その他本人をよく知る方々からの話を集め、
それをコンセプトと捉え、建築空間に芸術性を付加するようにしています。
設計提案をして終わりというわけではありません。
実際に工事する職人さんたちに、その空間を造る意味・目的を理解してもらった上で
建築工事に携わってもらい、職人ひとりひとりの思いをその空間に注入します。
建築に携わる人の思いがなければ、それをやる意味はないと考えています。
その思いの結集こそ、真の芸術であり、そこに居る人に影響を与える空間となりうるのだと信じています。