Category Archives: 新築物件

照明のありかた

今日は朝から伊丹市の住宅へ行ってきました。
ほぼほぼ完成で、今週末にお引渡しです。

 

周りを建物に囲まれているため、明るいリビングを実現するために
2階に配置しました。

 

勾配天井の上部からのやわらかい採光に馴染むように真鍮のペンダント照明が垂れ下がってます。
真鍮でいろんな製作をされている千senさんにお願いしました。

 

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その空間を構成する要素として照明は非常に重要なものです。
特に夜にはその重要さが分かります。

 

日本は世界的に見てもかなり明るい照度基準です。
私が滞在していたヨーロッパの国々では、明るさが全く違います。
かといって不便かというとそうではなく、かえって落ち着いて夜はそのほうが健全に感じます。
昔から煌々と明るい空間が苦手なので、ヨーロッパの明るさはとても心地良いものでした。

 

住宅では本を読んだり子供が勉強するので部屋を明るくしたいということもありますが、
部屋全体を歩き回って読書したり勉強するわけではないですから、
その部分だけ明るくできるようにタスクライトを設置すればいいということです。

 

部屋が夜も煌々と明るいと、昼間との変化が少ないので、
建築空間としては、多様性に欠けるということになります。

 

昼の空間の良さ、夜の空間の良さを楽しむ。
かといって人によって明るさの感じ方は様々です。
だからライフスタイルが可変する部屋では、ある程度照明の回路を分けています。
調光器を使用する場合もありますが、
点灯照明の配置を変化させることで、座る位置によって光源そのもを視界から消すこともできるからです。

 

住宅ごとにすべての照明器具を選定しているので、毎回かなりの照明器具のカタログなりサイトなりを
見て悩みますが、住宅ごとに違う空間なのでその空間でのベストを考えるのはとても楽しいです。
当然コストもありますから何でもありというわけではなく、制限範囲内で決定します。

 

あとは昼間に照明が点灯していない時の器具のあり方にも配慮が必要です。
点いてない時に違和感を感じる照明器具は辛いです。

 

千senさんの真鍮のペンダントは点灯していなくても
その存在がやわらかく嫌味のない存在感がありとてもいい感じです。

 

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あっ、なんか真面目にブログの投稿が終わってしまいそうです。
気付けばもう夜の11時。。。
事務所の照明は煌々と輝いています。
やはり明るすぎるのは疲れます。。。
前述のように、デスクライトだけにすればいいじゃないかって?
皆帰って事務所に一人。
煌々と明るくないと怖いでしょー。

 

カテゴリー : 新築物件

投 稿 日 : 2015年2月18日

コンパクト介護住宅訪問

先日、1年半以上前に引渡しをしたコンパクト介護住宅へ訪れました。
伺うと毎回嬉しい言葉をいただきます。
建築という仕事でよかったと思います。

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かなり前ですが、お施主様からいただいたメールを読み返しました。

下記、お施主様からのメール
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「今日来てくれたヘルパーさんがこのお家を設計された方に伝えてほしいことがあるとのことでした。
ケアをするのが毎回楽しみで来て下さってるそうです。
それは、初めて来た時から家の空気感がとても居心地がよくて、何でだろう?と不思議に思っていたそうです。
緊張もせずに、ケアに集中できて、ケアしているこちらの方がほっとできる、
他の訪問先でへこんだ後もここに来たら何故かリセット出来る、この気持ちは一体何だろう。
たくさんの職人さんが精魂込めて作ってくれた話をすると彼女は泣きながら聞いていたそうです。
たくさんの人のたくさんの想いが込められたお家だから、きっとケアする側の人のことも考えて設計されたお家だからこそ、
この家の何とも言えない空気感があるんだと感動されたそうです。
たくさんの方をケアされてきたそうですが、このお家に来る日を楽しみにしてくれているそうで、
介護現場はやはり厳しいのが現実の中、そういうお家は初めてだそうです。
このお家がヘルパーさんと私たち家族を繋いでくれたんだと改めて実感しました。
そんなお家にこれからも住めるのが嬉しいです。」
(文章を一部省略、人物を特定する言葉は省いてあります。)
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たいへん有難いメールです。
次に向かう勇気をもらえます。

工務店さん・職人さん・設計者の想いが合わさってこその空間です。
私が思う建築にもっとも重要な部分が、その空間に居る人の感情を良い方向に動かせたこと、
そのことが一番嬉しいことです。

工務店さん、職人さんたち読んでもらえましたか?

次もその次も、もっと良いものができるように、またよろしくお願いします。

カテゴリー : 新築物件

投 稿 日 : 2015年2月8日

信じる建築空間の実現に向けて

今日は雪がちらつく寒い一日でした。

昼から姫路にてお施主さんを交えて現場打ち合わせを行い、
終わってから、ある所へ行きました。

「杉下材木商」という銘木の販売、加工・製材を行っているところです。

姫路のお家の階段の踏板の製作加工の相談に訪れましたのでした。

Rの壁に片持ちで無垢材の塊が突き出した階段です。
ゆっくりと曲線を描くように昇降します。

リビング空間に剥き出しになったこの階段は、このお家の象徴ともいえる
大切なものとしてイメージを創りました。

そしてそのディテールを工事責任者であるタクトホームのバービーさん(川畑さん)が寝る間をおしんで
まとめ上げてくれました。

さあいざ製作加工という段で、コストという問題にぶつかりました。
大梁ほどの製材を踏板状に加工するのに、材料費に加えて大きな加工手間が必要になります。
直面した金額はかなりのものでした。。。

加工手間や木材の反りを軽減するために、一枚の踏板を分割する、集成材を使うなどいろいろと思案しましたが、
やはり当初のイメージ通りひとつの無垢材の塊で踏板をつくるという思いは消せませんし、
この空間にはそうあるべきだという考えも変わりません。

そう考えているときに、「杉下材木商」のことが頭に浮かんだのです。
私の学生時代の同級生が勤めています。
数年前にその友人が私を訪ねてくれたことがありました。
その時の彼の建木に対する熱意を思い起こしました。

早速、電話で相談をしました。
そして次の日である今日、早速直談判しに伺いました。

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すると既にこちらが提示した踏板の模型を造っていてくれました。
これほど嬉しいことはありません。
要望を聞いていただいて、相談にのっていただきました。

あと少し打ち合わせが必要だと思いますが、
階段実現への光が見えました。

我々設計をするものは、建築でいうと末端の仕事です。
製材されたもの、加工されたものを用いて設計するからです。
例えば、こんな形を鉄で造りたいと考えていても、実際に形にするのは職人さんです。
いくら高度な計算をしようと、それを実際に形にするのはそれぞれの現場の人たちです。

だからこそ設計者はそういった実際に形にする人たちに教えを請わなければいけないと思います。

今日、木を扱う建築の大元と直接話ができてとてもよかった。
こうやって多くの人の思いが宿る建築が、
本当によい建築だと信じています。

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投 稿 日 : 2015年1月31日

今年最後のプレゼンテーション 美容院

今年も後一週間ほどになりました。
早いですね。

先日、今年最後のプレゼンテーションを行いました。
美容院の新築計画です。

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初めてプランの提案を行うときは毎回怖いです。
当然自信のあるプランを提案するわけですが、
自信があるからこそ、お客さんの反応が怖いのです。

結果は、気に入っていただけたようなので、
ひとまずホっとしました。

私自身ずっと同じ美容師さんにお世話になっていますが、
その美容師さんが休業中の数年間、
美容院を何軒もまわったことがありました。

フィーリングの合う美容師さんと出会うことも大切ですが、
よい空間であることも大切です。
職業柄いろんな美容院を訪ねては、どんな導線か、どういうことにこだわっているのか、
仕上材は何を使っているのか、照明計画はどうなっているかなど、
施術されながら鏡ごしに店内を見渡していました。

私の場合、いつもパーマをあてるので、滞在時間は2時間半~3時間くらいです。
長い時間過ごすので、やはりよい空間でないと。

今回の提案は、外はシンプルに、中は。。。お楽しみです。
お客さんが居る空間は、まともに窓を設けていません。
だけど、開放的であるようにと考えています。

来年から本格的にスタートです。

カテゴリー : 新築物件

投 稿 日 : 2014年12月25日