Category Archives: フランス建築

モン・サン=ミシェル修道院 1 =Le mont saint michel 1=

最近はなかなか忙しく、ブログを書くにも力が沸いてきませんでしたが、今日は力を振り絞って書きます。
今はこんな場所で、ゆっくりと過ごしたい気分です・・・。
モン・サン=ミシェル修道院。
フランスに行ったら是非行ってみたい、場所のひとつでした。
パリに着いてから行く方法を調べていると、パリから日帰りで行けるツアーを発見しました。
日本人の旅行会社だったので、すぐに足を運んでみました。
そしてツアープランや金額などを聞いて、予約をしました。
少々高かったですが、距離があるので、仕方ないかなと思いながら、楽しみに待つことにしました。
当日、朝の7時にパリの中心地からバスで出発しました。
バスではバスガイド(男)が話をします。
片道4時間半ぐらいの道のりです。
「パリはねぇ~日本と違ってねぇ~・・・。」というような若干日本人観光客を見下したような口調でバスガイドが始まりました。
妙にカンに障る感じでしたが、無視して窓の外を眺めていました。
朝焼けがキレイです・・・。心地良い気分になりながら・・・。目的地を想像していました。
走り始めて1時間ぐらいでしょうか。ふと違和感を覚えました。
モンサンミシェル1
気付いたらバスガイド(男)(以下バス男)が出発から途切れることなく話し続けていました。
「何の話?」と思いながら聞いてみると、ひたすらパリの歴史について話しています。
よくよく聞いていると、すごく分かりやすく、興味をそそる話し方をしています。日本語に飢えていたせいか、それともバス男の話がうまいのか・・・。
しかし若干偉そうなのは変わりません。
結局、到着まで途切れることなく話し続けていました。
ついに到着!モン・サン=ミシェル!!
モンサンミシェル4
壮大な建物が目に飛び込んできました!!
海に浮かぶ修道院です。あいにく天候はよくなかったので、遠景を楽しむことはできませんでしたが、この異様な景色には圧倒されました。
要塞、監獄という用途にも使用され、幾重にも積み重ねられた建築の島は、今にも天へと昇っていきそうな感じです。
モンサンミシェル2
修道院を取り囲む民家や店舗の間の細い路地を抜けて、上へ上へと進んで行きます。途中のレストランでこのツアープランにも含まれている昼食がありました。
「プーラールおばさんのオムレツ」修道院の近くに住むおばさんが考案した名物料理だそうです。
さっそく一口・・・。
モンサンミシェル3
「・・・味、うすっ!」
特にコメントなしです・・・。
まあ別にオムレツメインじゃないんですが、わざわざ料金に含んでまで・・・といった感じですね。
ふいにこういうことを想像しました。


プーラールさんという頑固でお節介焼きなおばさんがいました。
自分は究極のオムレツに辿り着いたと言って、ある日みんなにご馳走することにしました。
しかし、その日に限ってゲランドの塩(モンサンミシェルで採れる岩塩)が残りわずかになっていました。
仕方なく、少量の岩塩を使ってオムレツを焼いたところ、味の薄いものが出来上がりました。
おばさんは、みんなを招待している以上、引っ込みがつかなくなって、この薄味オムレツを究極だと、洗脳することにしました。
そうして不本意ながらも、ここの名物料理になってしまいました・・・。
こうして今も子供達への洗脳は続いているのです。
今も子供達は「やっぱりプーラールおばさんのオムレツが一番だね。」と染み付いたセリフのように言うのです。
プーラールおばさんの呪縛から抜け出せずに・・・。


あくまで想像ですが、おそろしいですね。
しかし伝統というものは素晴らしいです。味はどうあれ、永く変わらないもの、その一端に触れられただけでもありがたいです。
誤解のないように、このオムレツは巡礼のために訪れた修道士たちにお腹いっぱいになってもらおうと、プーラールさんがメレンゲを使ったフワフワのオムレツを考案したそうです。

ルーブル美術館 =Musee du Louvre=

ルーブル2
この建物の歴史は深く、1190年にフィリップ2世が、パリ防衛のために城砦を築いてから、16世紀にルネサンス様式の宮殿に改築され、それから3世紀以上にわたり増改築を繰り返して完成しました。
そして1793年にルーブル美術館とし正式に開館しました。
一般公開は1801年からです。
ルーブル6
<エントランス>
多くの時間と、歴史を刻んだこの建物は実に壮大なものでした。
よく1日では廻れないとか聞きますが、その通りでした。始めはゆっくりと1日かけて廻ろうと思っていましたが・・・。
1時間後: かかとが痛くなってきます。
1時間半後: 肩がこってきて頭がぼーっとしてきます。
2時間後: 絵画などの解説を読まなくなります。
2時間半後: 気になる作品以外は素通りするようになります。
3時間後: もっと多くの作品を素通りするようになります。
3時間半後: 入場料のもとを取れているかを冷静に考え出します。
         こうなったら芸術とは無縁な脳みそになります。
4時間後: 退出 
以上の流れでボクのルーブル美術館めぐりは終わりました。
正直、多くの美術品を一度に見るのはツライです。ある芸術家の作品集を集中的に見るとか、ひとつのコンセプトに基づいた作品群を見るとか、何か集約できるものがないと意識も拡散してしまいます。
できれば、家で毎週1枚ずつ絵画が送られてきて、1週間それだけを見つめるといった方がより健全だと思いました。
そういう意味で、デアゴスティーニはよく考えてるなーと思います。
こんな中、力になってくれるのは、有名作品たちです。
モナリザ、ミロのヴィーナス、サモトラケのニケ像、ドラクロワの民衆を導く自由の女神・・・・・etc。
ルーブル4
<ミロのヴィーナス>
ルーブル5
<ニケ像>
昔、教科書に載っていた作品たちです。
この何百年もトップを走り続けているこの作品たち、絶対にその地位が失われることはない。人間は歴史上語り継がれるが、その存在はなくなります。
人間が造り出したものが、なお存在しながら人よりも絶対的な地位にあるというのは、とても不思議です。
ルーブル7
人間の人智を超える魅力。これこそが芸術の魅力。
いやー素晴らしいー!!爆発です!!
ルーブル1

ラ・ロッシュ+ジャンヌレ邸 =Villas La Roche-Jeannret=

ラ・ロッシュ+ジャンヌレ邸。
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近代建築の巨匠ル・コルビュジェが手がけたラ・ロッシュ氏と、コルビュジェの兄のための、2軒続きのL字型住宅。
1925年に完成したこの建築物は、ル・コルビュジェの代表作の一つです。
白く機能的な建物を手がけ、「モデュロール」という彼が生み出した、人体から割り出される尺度を操り、多くのすばらしい建築を世に残しました。
写真や映像でしか見たことがなかったので、小奇麗にまとめられた機能的な建築というイメージでしかなかったのですが、百聞は一見にしかずというように、この建築に実際に触れて大きく印象が変わりました。
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まず大きく思ったことは、建築の材料であるものの質感です。ものすごく質量感が洗練されているのがすぐに分かりました。
建築というよりも、「造形」というものに純粋に向き合ってできている、そんな感じです。
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その純粋な造形が空間を構成する、そしてそのまとまりが大きな造形となっているこんな感じでしょうか?
この空間にいると、全ての尺度に意味があるということを痛感します。
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ガウディの建築が総合芸術というのであれば、ル・コルビュジェは総合造形といった感じかなと思いました。
機能を追及するという上で、形という意味を最大限に引き出そうとしたのかな?
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天才の考えはボクには理解できないかもしれませんが、こうやって感じることで、天才に近づけたらいいなと思いました。

ベルサイユ宮殿 2 =Chateau de Versailles 2=

ベルサイユ宮殿、この日は極・極寒でした。
しかも入口で長蛇の列ができています。
寒すぎて、寒すぎて、遊園地のアトラクションで心待ちにしながら並んでいるのとは違って、とりあえず中に入れてという感じでした。
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小物や家具類のどれが高価で、どれが珍しいのかは分かりかねるところはありましたが、1682年フランス絶対王政時代にルイ14世が建てたといわれるバロック建築の代表作を堪能しました。
優美さ、壮大さ、その全てからここでの生活や仕事の風景が浮かんでくるようです。
「ベルサイユのバラ」を読んだこともあったので、より想像力が働きました。
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<まちがい探し>違うところが1箇所あるよ。
しばらく見たあとに、庭園を拝見することにしました。
庭に出た瞬間、「でかっ!!さっむっ!!」という感覚が同時に襲ってきました。
天気が悪すぎて、遠くまで見渡せませんでしたが、十分に大きさは認識できます。
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「これは歩いて廻ったら、凍えて遭難するな。」と思ったクレバーなボクは、庭を周遊するバスに乗ることにしました。
バスと言っても遊園地にある子供ようの汽車みたいなものです。
この広い敷地を3台で、巡回していました。
3台のうち、1台は窓ナシの吹きさらしバスです。
「この極寒の中あのバスに当たったら命が危ない。」と思ったと同時に、
「これ何のゲームなん?軽いロシアンルーレットやん。」と思いました。
そうこう考えて待っていると、霧の中からバスの影が見えてきました。
さあ窓付きか、窓ナシか。楽しめるか、耐え忍ぶかの運命の瞬間です。
・・・「おぉ~~~!!」歓声があがりました。
みごとに窓ナシバスです!!
みんな同じ思いだったのでしょう。落胆の色が伺えました。
そういうみんなの思いを乗せて、窓ナシバスは走ります。
風がビュービュー吹き込んでくる中頑張って写真を撮りました。手をずっとポケットにしまっておきたい気分です。
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みんな寒さに震えながら、庭園を観覧しているのを見ていると、不思議に思ってきました。
ボクは半分建築の勉強だと思っていたので、こんな状況でも十分に価値はありますが、観光のみできている人はどういう感覚なのでしょう?
「見た。行った。」というステイタス的なものなのか、この劣悪な状況の中、美しいとか、壮大だ、という風に素直に感激しているのか?
あまりにも自分の理想像とかけ離れたこの状況だと、感激という感情には程遠いです。
庭は緑が青々としていて、キレイな花が咲いていて、見渡す限りの青い空、ありきたりですが、これがボクのイメージです。
自分の美しいと思う感覚と、情景がシンクロした瞬間に感激という感情になります。
例えば、家の窓から見る景色でも、感激する瞬間があるはずです。
こういう感覚で物事を見ると、いかに壮大なベルサイユ宮殿でも、ふとした景色よりも心が高揚しないということも、あり得ると思います。
そういう景色や瞬間を身の周りに多く持っていると、より豊かな生活を送れそうです。