Category Archives: スペイン建築

グエル公園 2 =Parc Guell 2=

グエル公園の工事が順調に進む中、ガウディの最も尊敬するカタルーニャの聖職者の中心的存在であるトーラスという人物が訪れました。
グエル公園8
そして、ガウディと共に園を一回りして、トーラスは言いました。
「建築というものは建築家自身なのですね。豊かな自然をお与えくださった神を尊ぶあなたの信仰心が伝わってくる。丘陵という地形を実によく生かした楽しい空間です。」
グエル公園11
ガウディの作品は時期的、地方主義的、曲線を多用した装飾など、一般的にはモデルニスモの建築家として分類されるが、カサ・バトリョやグエル公園で見せた生命の表現など、個性的な部分が多いため、容易にモデルニスモの建築家とは言い切れないところもあります。
ある意味バルセロナの建築界の主流から疎外された立場であったから、オリジナルを模索しやすかったのではないだろうか。
グエル公園10
そんなガウディとグエルの夢のグエル公園も、資金難により60棟の分譲住宅のうち2棟を完成させた時点で中止せざるをえなくなりました。
当初は繊維業者のブルジョアたちが分譲住宅を購入するであろうと見越していたが、米西戦争に敗北して繊維業者たちは輸出先を失い、分譲地を購入する余力がなくなってしまったのでした。
この事業が失敗した要因は、バルセロナの中心から遠かったことや、この時代には新しいことをやり過ぎたためだとも言われています。
完成した2棟のうち1棟はガウディのお父さんが住み、もう1棟は弁護士が購入しました。
グエル曰く
「多くのお金を投じたけども、私は失敗したとは思っていません。
バルセロナの景観をよくするために良いお金の使い方をしたと思っています。
この場所は永遠にバルセロナの楽園になってくれるはずです。」
グエル公園19
グエル公園18
そして、分譲住宅の建築は中止しましたが、公園の工事は継続されました。
グエルの言葉通り、今も多くの人たちの楽園になっています。
どんな形であれ多くの情熱をそそぎ込んだものは、きっとその思いを継承していかなくてはならないのだと思います。
さすが、情熱の国スペインですね。
グエル公園5
<グエル公園、広場からの眺め。遠くにサグラダ・ファミリアも見える>
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グエル公園 1 =Parc Guell 1=

バルセロナの地中海と対面する山裾に広がるグエル公園。
建築家ガウディとパトロンのグエルによる夢の芸術作品です。
グエル公園4
1900年~1914年に建築、建設されました。
グエルはこの公園を当初、60棟ほどの分譲住宅地として計画しました。
グエル公園15
グエルはガウディに対してこう述べたと言います。
「バルセロナの面積はどんどん膨らんでいる。やがてここもバルセロナ市にふくまれるでしょう。愛するバルセロナを全て喧騒の中に置きたくはない。夢と緑のある空間にしておきたい。私はもう五十四です。私のわがままな最後の望みをあなたの手でかなえてほしい。この丘を、あなたの総合芸術にしてほしい・・・。」
グエル公園17
そして青空を天井に、岩を壁に、樹木を柱に、大地を床にみたてた設計がはじまりました。
ガウディの頭の中には、この時すでに、破砕タイル、岩、樹木という3幕で構成される空間が出来上がっていました。
音符ではなく自然や、タイルを使って作曲したのでした。
そして、毎日午後の3時に現場に訪れて、左官職人たちと打ち合わせをしました。
時には、上着を脱ぎ捨てて、共に働いたようです。
グエル公園1
建物ではなく、空間を造るということはこういうことなのでしょうか?
ガウディには設計するという意識はなかったのかもしれません。
ただ子供のように思うがままに造っていったのだと思います。
バルセロナ滞在中は何度も足を運びましたが、そういった思いが伝わってくるようで、とても心地よかったです。
グエル公園6
つづく・・・。
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聖テレジア学院 =Colegio de Santa Teresa de Jesus=

話はバルセロナに戻ります。
ガウディの作品、テレジア学院。
テレジア学院地図
<赤い印のところらへん>
バルセロナに行く以前から是非訪れたいと思っていました。
1988年から1990年に建てられたこの建物は現在も女子修道学校として使用されています。
テレジア学院1
規則正しい外観に暖かい土のような色が、印象的です。
そして、ボクが訪れたかった、一番の理由はこの建物の内部にあります。
白いアーチの壁が連続する回廊・・・。
その写真を見た瞬間、どんな場所にあってもここだけは絶対に行くと考えていました。
以外と普通に便利のいい街中ににありました。
しかし、ここに来てなんで中に入れると思い込んでいたのか、という疑問に襲われました。
周りを塀で囲まれていて、鉄壁の守りを見せています。
明らかに入れない・・・。
しかし、何もせずにおめおめと帰れないので、正門らしき所のインターホンを押してみました。
すると、「こんにちは。どのようなご用でしょう
という少し年配の女性の声が聞こえてきました。
ボク「あの~日本から来ました。中に入ることはできますか
修道女「ごめんなさい。中に入ることはできません。」
ボク「建築を勉強しています。ガウディの建物を見たいのですが・・・。」
修道女「あらそうなの。グラシアス(ありがとう)。」
プツっ
インターホンが切れました。僕の思いも途絶えました。
こんなに親切にきっぱりと断られると、もう一回インターホンを押して粘る気力も昇天します。
さすが、神様に近い方達です。
しばらく外から建物を眺めていました・・・窓が1箇所開きました・・・。
その窓の奥は離れた場所からだと、真っ暗で何も見えませんが、その内部を想像するには十分な隙間です。
テレジア学院2
こうやって見ている方が、実際に中に入って見るよりも、より空間を美化できます。
ひとつの窓の隙間からいくらでも、自由に空間を造れるのです。
なんて素晴らしいことでしょう。
あの修道女はこのことを伝えたかったのでしょうか
そういうことにしておきましょう。
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カサ・バトリョ 3 =Casa Batllo 3=

しつこくカサ・バトリョです。
百聞は一見にしかずと言いますが、建物というのはいくら写真を見ても実際にその空間に立って感じなければ、なかなか分かりません。
それでも設計者の意図したものや、仕上げるのに苦労した点を見出すのは難しいです。
そういう意味では、ガウディが手がけた作品は、「地中海、カタルーニャへの愛とキリスト教への絶対的な信仰」ということで実に明快なのではないかと思います。
ただそれを作品として表現することは、建築物自体を絵画や彫刻のように扱わなければならないでしょう。
食住する空間と芸術を融合する・・・。「芸・食・住」といったところでしょうか。
中に入ると、より深くこの建物、ガウディを理解できると思います。
しかし入場料が高い!
16.5ユーロしていたので、その当時(丁度ユーロが高かった時期)で2800円ぐらい。
今現在でも2300円ぐらい。
スペインの学生証があったので、それでも1600円ぐらいだったと思います。
それでは中にお入りください。
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竜の背骨ですか?
カサバトリョ海底
海底ですか?。
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直線なしっ!!
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直線なしっ!!!
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・・・直線なしっ!!!!


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何か生まれます?


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うっ、生まれてきました!!


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おぎゃー!!
こうやって私は生まれてきました。
機会があれば是非みなさんも足を運んでくださいね。