イタリア・ローマの重要な建造物コロッセオ。
ヴェネツィアからローマに着いて真っ先に訪れました。
紀元80年頃に完成し、今もなおその迫力を維持し続けている脅威の円形闘技場です。
大きさは長辺188m、短辺156m、高さ48mです。
1層目にドリス式の柱、2層目にイオニア式の柱、3層目にコリント式の柱を外周に配しています。
ドリス式、イオニア式、コリント式とは、主にギリシャ建築からローマ建築までに使用されたオーダーと呼ばれる古典主義建築の柱と梁の基本構成のことである。
建築学生の頃、このオーダーについて深く調べたことがあったので、なんとも感慨深い気持ちになりました。
日本建築でいう、禅宗様、大仏様、和様みたいなものでしょうか。
思い出すのはラッセル・クロウ主演のグラディエーターです。
この場所で剣闘士たちが闘っていたことを考えると、歴史の重みを感じます。
近くの売店に剣闘士の兜と胸当てと剣が売ってありました。
プラスティック製のおもちゃですが、実に雑で簡素な仕上がりでした。
私はこの場所に観光として、または建築を見るために立っていましたが、当時の剣闘士たちはどのような気持ちでこの場所を通ったのでしょう。
そういった気持ちは闘技場内で最高潮に達しました。
床がなくなった闘技広場、そこには剣闘士が出番を待ったりしていただろう、通路が見えています。
目を瞑ると、そこには満席になり歓声をあげる客達とその一角に皇帝の姿が浮かびます。
より多くの建物を見て見識を深めたいと考えていましたが、絶対的な歴史の重みに圧倒されて、そのような考えはここローマでは雑念のように思えてきたのでした。
まず最初にこのコロッセオに来たのは良かった。
ローマでの過ごし方を教えてくれたような気がしたからです。
「全ての道はローマに通ず」という言葉の真意を知りたいと思いました。
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Category Archives: イタリア建築
ブリオン・ベガ墓地 =Brion-Vega=
ヴェネツィア近郊のトレヴィソという町にある、ブリオン家のお墓。
設計はカルロ・スカルパ。愛すべきイタリアの建築家です。
なかなか観光客には行きにくい場所かもしれませんが、特に建物が好きな方は是非行ってもらいたい場所です。
電車とバスを乗り継いで、ようやく辿り着くと、いかにもスカルパらしい建物が向かえてくれます。
コンクリートによる軽快かつ重厚な造形。
天と地をひっくり返したとしても成り立つような建物です。
素材の重厚な感覚と、そこに入り混じる光の軽快さと崇高さが、とてもいいバランスで共存していました。
ここには、スカルパ自身も眠っています。
彼の息子がデザインしたお墓に眠っています。
<スカルパのお墓>
スペインではガウディ、フランスではコルビュジェ、ドイツではグロピウスやミース、偉大な建築家達に出会い、そしてイタリアではスカルパにも出会えた・・・。
時代が移り変わっていくうちに建築のスタイルも変わっていきます。
世界に名を馳せた彼らなら、時代が変わろうとも我が建築道を突き進むんだろうなと改めて思い、嬉しく思い頼もしくも思いました。
多くの建築学生が目指す建築家のありかたはこのようなものでしょう。
その目指すものの難しさに気付いて、知らない間に彼らを別次元の世界の人のように、ひとつの固有名詞のように言うようになります。
その部分だけを見ると悲しいことかも知れませんが、良い建築とは彼らが携わってきたもの以外にも多くあります。
彼らが完全に建築を極めたとも思いませんし、彼ら自身も晩年そのようなことは思わなかったに違いありません。
極めたと思わない限り、より良い建築を生み出し続けることができるのではないでしょうか。
自分の今までの行動を鑑みるに、300歳を超えたあたりで、彼らを超えることができると考えています
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ヴェネツィア・ビエンナーレ =Biennale di Venezia=
現代美術の国際展覧会もここヴェネツィアで行われています。
奇数年に開催され、次回は2011年になります。
私が行った時期には行われていませんでしたが、会場となる数々の有名建築家の建物があります。
いろんな国ごとに、パビリオンがあり、日本館は吉阪隆正さんが設計されました。
<日本館、吉阪隆正>
<日本館・屋内>
<フィンランド館、アルヴァ・アアルト>
<ベネズエラ館、カルロ・スカルパ>
<オランダ館、ヘリット・リートフェルト>
豪華すぎ・・・。
展覧会が開催されていない時は、誰もいなくて閑散としています。
ほとんどの建物の中に入ることができませんでしたが、世界的に有名な建築家の建物をまとめて見ることができるのは、とても価値のあることです。
2011年の日本館の展示は兵庫県生まれの現代芸術作家束芋さんに決定しました。
束芋さんの作品は前々から是非見たいと思っていましたので、とても楽しみです。
「束芋さん横浜美術館にて」YOUTUBEより
http://www.youtube.com/watch?v=ELvPXiwjrac
今週末に大阪の国立国際美術館に束芋さんの作品を見に行く予定をしています。
とても素晴らしい体験ができることを願っています。
今年の一級建築士二次試験は「小都市に建つ美術館」という設計課題です。
この試験には優れたデザイン性は求められません。
機能性を無視して、デザイン性に走ると確実に落ちる試験です。
こちらは堅実に考えないと・・・。
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