日生劇場 3

ホントにこだわりの連続です。
どこから見ても、「いいなぁ~」と思えました。
これだけの大規模な建築物で、これだけの表現をするのは、並大抵の設計時間では叶わないでしょう。
そして、最も見ておきたかったのが、この劇場の客席部分でした。
日生劇場17
写真などで見ることの多かったこの空間を、実際に体験しておきたかったのです。
写真を見ていて、想像が膨らんで事前に過大評価してしまうこともよくありますが、素直な気持ちでこの建物を見れて、ここに来れて良かったと思いました。
壁はガラスモザイクで、天井はアコヤ貝を貼っています。
このアコヤ貝はごく稀に客席に落ちてくるそうです・・・。
そして結構イタイらしい・・・。
日生劇場10
そこら辺の建築物なら、樹脂系の接着剤等を上塗りして補強するなど、安全面を第一に改装するでしょう。
この建物は剥がれ落ちた所だけ、新しく貼ってそのまま使用しているそうです。
「うかつに改装などしてはいけない。」そう感じるのでしょう。
日生劇場14
劇場内を案内してくれた方が、「この間、殿下と雅子様と愛子様がこの劇場で観覧されましたよ。」
「そして、この座席に座られました。」と目の前の椅子を指さしていました。
座ってもよいものかどうか
思いもよらない急接近に困惑しましたが、とりあえず愛子様の座られていた席に座りました。
すると、座った瞬間、天上の方から爽やかな声が聞こえてきました。
「ソナタハ ナゼ コチラニオラレルノジャ
「えっ建築を学ぶためです・・・。」
「ソウカ、ワラワモ タテモノヲミルノハ スキジャ。」
「はぁ・・・そうですか。」
「キニイッタ ソナタ ワラワノ ハナムコニナレ。」
「こっ、困ります愛子様っ
と、このような声は聞こえてきませんでしたが、なんとも落ち着くお座席でございました。
あえて、この空間を言葉で表現するなら、海底の光が僅かしか差し込まない静かながら、上昇するための期待を持つ空間・・・そんな感じでしょうか
日生劇場13
ガウディの表現に似ている・・・とも感じましたが、こちらの方がより繊細な日本人的な感覚を受けました。
百聞は一見にしかず。百見は一訪にしかず。
建築はこれに限ります。
日生劇場12

カテゴリー : 日本建築

投 稿 日 : 2009年9月22日