ある程度図面がまとまってきた段階で、全体像を考えながら、もう一度再構築していきます。
所員と話をしながら、「ここはやっぱりこのほうがいい。」とか「ここはどんな風に見えるか。」など全体的に整理していきます。
建築はやっぱり細かな部分の集積であり、それが整然としていないと、大きな部分もぼやけてしまいます。
何も考えずに、普通にしていったとしても家にはなります。
ここの壁はアクセントでこんな素材にしようか、おしゃれだね~という軽い感覚ではなく、ここにあるべきものはどういったものなのかを考えることが重要です。
そういったものを考えるのには、より強い想像力と集中力が必要です。
VRの仮想世界よりも純度の高い世界を頭の中に映し出さなくてはなりません。
精度を上げていくなら、匂いや音ですら想像することもできるでしょう。
壁の質感が切り変わる部分などは、その部分まで歩いていって、その部分を四方八方ぐるりと見渡すような感覚で、頭の中の仮想世界を確認するのです。
表層的に見える部分はこのような感覚で、概ね網羅できますが、あとはその下地や構成をどのようにすればよいか、どの方法が優れているか、どの順序で組み上げれば可能なのかなど、それを平面的な図面に落とし込んでいきます。
お施主さんの要望も盛り込むと、おのずと答えのようなものに辿りつきます。
云わば要望がなければ、建築はいつまで考えても答えに近づくことはできないでしょう。
その答えが簡単にでれば楽なのですが、そう簡単にいかないのが建築であり、
それが建築の魅力であるのです。
もうひとふんばりしましょう。