久々のブログ更新です。
なかなか忙しく、ブログで報告する話題はたくさんあるのですが、落ち着いて文章に換える時間がありませんでした。
ぼちぼちとブログ復活していきたいと思います。
さて、左官壁についてです。
舞鶴市で建築している美容院併用住宅の、レセプションの左官壁が完成しました。
建築にとってその空間にあるべきものを見出すということは非常に大切です。
このお店はスキップフロアで上下に躍動感のある空間となっており、とても面白いのですが、ある時その躍動感が散漫にならないように、空間を支配する、つなぎとめる存在が必要だと考えました。
力でねじ伏せるという支配ではなく、やさしく見守る象徴的な存在は必要だと考えました。
お店の玄関にある一枚の大きな壁。
この1階から中2階にまたがる壁をこの空間の要と考え、形状と表情を模索しました。
真っ白な室内空間にドシリと腰を据える丸く切り取られた壁。後ろ側はほんのりムクリ上がった優しい曲面。
土の表情が、この力強くも優しい形状の壁を、適切な存在へ導いています。
象徴的な物の存在には意味と思想が必要です。
それを実現する技術も必要です。
そして、そのものを必要とする意思と場所が必要です。
西日が激しく差し込むので、奥に陽射しが入り過ぎないように曲面の高さや幅を設定しています。
裏から見るとその西日が後光のように神々しく左官壁の存在を強調しています。
正面にあるお店のKのロゴは土の壁から削り出したような表現で、これからもいろんなものを掘り起こして新しい力を得てお店を発展させてほしいという思いもあります。
形を実現に導いた職人さんに感謝。
そしてこの身勝手な建築思想を受け入れてくれたお施主さんに感謝。
左官壁がこのお店の空間をつなぐ象徴であり、見守り続ける存在であるように心から願いを込めて。