昨日、劇団神戸の舞台を鑑賞しました。
舞台というものをまともに鑑賞したのは久方ぶりで、その行為自体に新鮮さがありました。
というのもなかなかそのような分野に触れ合う機会も、それに赴くという思慮も無かったのです。
少し前、とある会場で劇団神戸の方と知り合うことができました。
これが今回の舞台鑑賞のきっかけです。
このきっかけが無ければ、恥ずかしながら「劇団神戸」という名前、そして
1970年からこの劇団が活動しているということすら知りませんでした。
そしてもうひとつ、元町商店街にある「神戸風月堂」の地下に今回の舞台会場となっている
ホールがあることすら知りませんでした。
このホールがオープンしたのは1977年。偶然にも私が生まれた年です。
なんとも感慨深く思いました。
さて、今回の公演「牡丹燈幻想」はこんなお話です。
以下、パンフレットより。
舞台は中国のとある村。貧しいながらも活気のある生活を築いていた長屋住まいの村人達と儒生である青年”喬生(きょうせい
”にとって、年に一度の”燈篭祭り”は数少ない楽しみの一つだった。
その祭りで、喬生は運命の女性”麗卿(れいきょう)”と出会い盲目的な恋に落ちていく。
美しく可憐な彼女が、幽霊であることなど知る由もなく-
人間の欲のあり方というものが、いろんな視点で表現されていて
時にその欲望により、身を滅ぼすという人間の性が投影されていて
そしてその先にある真実へと向かうためには?ということが明快なよい作品です。
文面で内容を見ると、暗く怖いイメージのお話ですが、
舞台の演出でコメディの要素や、コミカルな音響・台詞を交えてあり、
とても楽しむことができました。
中でも私がとても良いと感じたのは、舞台演出と構成です。
映画と舞台の大きな違いは、演者との距離感にあるでしょう。
映画はスクリーンの中の既に完成された世界観を外から観覧するのに対し、
舞台は演者と同じ空間で一緒にリアルタイムで繰り広げられる世界観を共有するという感覚を持ちます。
そういった意味で舞台にとっての演出と構成は非常に大切なものに感じたのです。
今回のお話の中に、「月湖のほとり」という場所設定があります。
私には、その薄暗くも薄霧かかった淡い紺色の少し寂しい空間のビジョンが明快に頭に浮かびました。
その仮想空間を強く感じることができると、演者さん達の立ち振る舞いや台詞もより引き立ち
臨場感も強くなります。
とても素晴らしい感覚を得ることができました。