少しだけ仕事が落ち着いたので、机の傍らにある雑誌をゆっくりと眺めました。
「Casa BRUTUS 井上雄彦とガウディ巡礼」
ページをめくりながら、懐かしさとともに心が落ち着きます。
カタルーニャの匂いを、そして地中海からの暖かな風を感じるようです。
本文の中に、井上さんのガウディ建築に対する画家としての心情が綴られています。
「3年前に訪れた当時は、ディテールにばかり目がいっていたんです。造形の凄さとか、そのソースや意図とか。。。」
私もバルセロナに訪れた最初は同じような感じでした。
ディテールを見たり、造形について考えたり。
そうしながら数ヶ月の間、サグラダ・ファミリアの前を通り過ぎたり、中に入ったりしていました。
あるときその感覚、見る対象が変わったのを覚えています。
昼下がりに公園のベンチに座って、ボーっと聖堂を眺めていました。
そうすると、当然のようにそれを取り巻く大勢の人も視界に入ります。
毎日毎日何人の人がここを訪れているかな?
それだけの人を惹きつけるエネルギーとはとてつもないな。
そう思ったときから、ガウディの建築を観るのではなく、感じるようになりました。
井上さんも今回のバルセロナ滞在でガウディ建築に対する感覚が変わったと書かれています。
「これだけの人を呼ぶ力ってなんだろうとか、彼らは一体何を見に来ているんだろうとか、・・・」と。
建築をそういう見方で見るようになると、ほんとに多くのものが自分の中に飛び込んできます。
バルセロナの限らず、いろんな国の建築を見ましたが、特にガウディは別格でした。
落ち着いて、写真を眺めると形ではないものが沸いてきます。
それがものを造るものとしてとても大切なものなんだと井上雄彦さんが、
同じように感じられたことによって明確になりました。
井上雄彦さんに比べると私の感覚など陳腐なものですが、
偉大な画家と少しでも同じ感覚を得られたことは、自分にとってとても貴重な体験でした。
数ヶ月前から、日本スペイン400周年として「ガウディx井上雄彦の特別展」が開催されています。
東京から始まり、今は金沢で開催されています。
その後、長崎、神戸、仙台を巡回予定です。
神戸開催のときには行く予定です。