誰もが知っている「通天閣」。その場所は「新世界」という名称で有名です。
私が初めてここを訪れたのは、1990年代で、静かで恐怖や不安さえ感じるような灰色の情景だったのを記憶しています。
1990年代の灰色の世界は、10代だった私には重く、気軽にお店に入れるような雰囲気ではありませんでした。
通りを歩いていると、ランニングシャツとパッチのおじさんがお酒を飲みながら、じっとこちらを見てくるそんな場所でした。
当時は派手な服装を好んで着ていたこともあり、「よそもんが何しに来たんや。」といった視線を浴びたのを覚えています。
そんな場所も今では、観光客、若者や家族連れで賑わい活気のある雰囲気に変わっていました。
久しぶりに訪れたときは、自分の記憶違いかと疑うほどの変貌ぶりに少し驚きました。
そこで興味深くなり、「新世界」の歴史を少し調べてみました。
1912年に「新世界」は誕生しました。
当時の新世界は、ニューヨークのコニーアイランドのルナパークに似た「ルナパーク」という遊園地がありました。
名前、丸パクリやん!
そしてその時の「通天閣」は、凱旋門の上にエッフェル塔を載せた斬新な形態だったようです。
パクリからのコラボ!!
当時を知らない私は、この光景をおかしく思いながらも愛おしく感じました。
<新世界略歴>
1912年 「新世界」誕生。「初代通天閣」・「ルナパーク」開業
1915年 「天王寺動物園」開園
1918年 隣接地に「飛田遊郭」開業
1923年 「ルナパーク」閉園
1938年 地下鉄御堂筋線「動物公園前駅」開業
1943年 第二次世界大戦時に、金属回収令で「初代通天閣」解体
1945年 大阪大空襲で「新世界」被災・壊滅
1947年 「ジャンジャン横丁」復興
1956年 「二代目(現)通天閣」開業
1958年 「飛田遊郭」廃業により新世界も歓楽街として衰退
1961年 「金ケ崎暴動」により隣接する新世界のイメージ悪化
1970年~1990年代 労働者の溜まり場となり、若者はキタやミナミに流れる
1990年代~ 昭和の風情を感じさせるレトロな雰囲気が若者たちに最認知され徐々に盛況となる
歴史を調べて改めて1990年代の新世界が衰退していた頃に訪れた経験は、大変貴重なものだと感じました。
これらも「新世界」がNEW WORLDとなっていくことを期待し、楽しませてもらおうと思いました。